前立腺癌は殆どが外腺に出来ます。
前立腺の癌は悪性度によって3段階とか5段階に分類されています。
3段階の分類ではグレード1、グレード2、グレード3または高分化、中分化、低分化等と分類されています。前立腺の癌は悪性度の異なる癌が混ざって出来ていて一様ではありません。
この為グリーソンの分類では悪性度を5段階に分類して、2箇所の悪性度を加えて評価しています。
ある部位が3の悪性度で、他の部位が4の悪性度だとすると3+4=7というように評価します。
原因
前立腺癌の原因は他の癌と同じように遺伝子の変化です。
家系の中に前立腺癌の人がいる場合は約30倍癌になる確立が上がるといわれています。
予防
女性ホルモンが癌化に関係しているらしく脂肪の摂取は良くないといわれています。皮下脂肪で男性ホルモンは女性ホルモンに変わるからです。
ビタミンDの摂取は予防効果があるといわれています。その他ビタミンEやC、大豆イソフラボン、セレン等はいいといわれています。
症状
前立腺癌は殆どが外腺に出来ます。
外腺は尿道から遠くにあるので排尿障害の症状は殆どありません。しかし頻尿は比較的多く見られます。
診断
- 腫瘍マーカー(PSA)
- 触診
- 画像診断
- 生検
1:腫瘍マーカー(PSA)
1980年代から測定されるようになった腫瘍マーカーで、最も癌の検出率が高いとされていて、腫瘍マーカーの優等生と言われています。
4ng/ml以下が基準値です。4以下でも癌がある場合があるので、2.0とか3を基準値としているところもあります。
2:触診
直腸から指を入れて前立腺を触ると、癌の場合固く触れることがあります。専門医によってはこれだけで分かるという人もいます。
3:画像診断
超音波やCT、MRI(ダイナミックMRI)等の検査があります。これらの画像を使っても炎症等と区別が難しく正確な診断は難しいのが現状です。
4:生検
前立腺に針を刺して木綿糸位の組織を10本程度採って病理学的に調べる方法です。
しかし一回の生検では30%程度しか針が癌に中らないといわれています。また前立腺癌は場所によって悪性度の異なる癌が混在している癌ですから、採ってきた組織が必ずしも正確でないという問題もあります。生検で中位の悪性度の中分化癌と診断された人に全摘術をして調べたら、その63%はもっと悪い低分化癌だったという報告もあります。
治療
- 全摘出手術
- 放射線療法
- ホルモン療法
1:全摘出手術
前立腺と精嚢腺を一緒に全部とってしまう手術です。この手術をすると膀胱の下は何もなくなってしまいますので、膀胱と尿道をつなぐ手術をします。
癌が全部取れればこれが一番完全な方法なのですが、実際は半分以上が再発するといわれています。
2:放射線療法
体の外からコンピューターで計算して照射する体外照射と、放射能を持った物質をカプセルに入れて前立腺の中に打ち込むブラキ療法があります。
ブラキ療法
ブラキ療法の場合は体外照射の2倍位の放射線をかけることが出来ます。放射線は少しでも多くかけたほうが等比級数的に効果があがります。
しかし副作用の問題があって限界があります。最近ではIMRTといって放射線の強さを変えて照射する方法もあります。
3:ホルモン療法
ホルモン療法は手術や放射線治療と併用される場合もあります。
女性ホルモン剤や合成の抗男性ホルモン剤等の内服薬やLH-RH誘導体の注射などがあります。
女性ホルモン剤や抗男性ホルモン剤は睾丸や副腎から分泌された男性ホルモンを打消す作用があります。LH-RH誘導体は睾丸から男性ホルモンが出ないようにする薬です。
この両方の薬を使うMABやCABと呼ばれる最も強く男性ホルモンを抑える治療が良く行われます。